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成功するビジネスプランはこう作る!その作成方法や考え方を例と共に紹介

経営を行う上でとても大事である「ビジネスプラン」の作成。

成功するビジネスプランとは、どのようにして作られるのでしょうか。今回はその作成過程を、例を挙げながら紹介していこうと思います。

 

経営計画策定の出発点は経営理念・ビジョンの再確認から

企業が新たに経営計画を立てるにあたっては、まず経営理念と経営ビジョンを再確認することが必要です。言うまでもなく経営理念とは、経営者の哲学から導き出されるもので、企業が果たすべきミッションや社会における役割を内外に示すものです。

それらを明らかにした上で、将来自社はどうあるべきか、定量的・定性的な将来像を明文化した「経営ビジョン」を示す必要があります。

 

それを長期目標とするならば、次に行うことは3~5ヶ年程度の中期目標を定めることです。

これは一般に中期経営計画(中経)と呼ばれるもので、まずマネジメント部門が全社戦略を策定し、その戦略に沿った形で各事業部がそれぞれどのように目標に向かって事業を進めるかという戦略を策定。さらにその戦略を部・課レベルの戦術まで落とし込んで、具体的なアクションプランを定めます。これが経営計画策定の大まかな流れです。

 

経営計画を具体化するにはどうすべきか

では、中期経営計画はどのように策定すればいいのでしょうか? 一つの例としては、3年後に年商10億円になりたいとか、海外進出を図りたいという具体的な目標をもって設定することが考えられます。

そこで必要なのが、経営における航海図・羅針盤で、リサーチに基づく将来の市場予測や各種のマーケティングがそれに該当します。

 

その上で、目標達成のためには、各部門はどう活動すべきなのか、部門長を責任者として1年ごとの部門目標設定を行わせることが重要です。

そして目標達成のため戦術レベルでの施策を設定し、最終的に各スタッフに活動をしてもらうのです。

 

中継の策定で大切なことは、例えば「既存顧客への深耕営業を精力的に進めていく」といった定性的な目標だけはなく、「CRM(Customer Relationship Management)ツールを導入して、1案件あたりの受注金額を平均10%アップさせる」といった定量的な目標も掲げることです。

 

あるいは技術部門では、奇抜なアイデアや高度な技術力だけを全面に押し出して、市場にリリースするというケースもよく見かけます。つまり、作り手優先の完全なプロダクトアウト思考に基づいたもので、顧客のニーズとマッチしない製品であることが多く、殆どの場合事業的に失敗します。

技術中心の企業で経営計画を立てる際には、後追いでもいいですから「なぜそのアイデアや技術、サービスがお客様のためになるのか」を考えて欲しいものです。

 

実際に経営計画を策定してみる

さて、経営計画策定の概略をご理解いただいたところで、実際に経営計画の提案を行った事例を紹介しましょう。

ある外食産業では、紅茶を中心としたカフェ部門が赤字続きであるために、一部役員から廃止の方向性が打ち出されました。しかし、部門担当役員は自らの事業哲学として部門廃止に反対。存続のための事業計画書を依頼していただきました。

 

この提案には次のような論法を用いました。

 

Ⅰ:企業の目的

  • 企業の目的は、顧客の創造。利益は目的ではなく条件である(P.F.ドラッカー)こと
  • ボストンコンサルティングのプロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)に当てはめれば、「新しい飲食事業」は“問題児”であることはやむを得ないこと
  • 問題児は、市場シェアが低いため、コストがかかっている事業ですが市場の成長性が高く魅力的なものであること

上記の企業目的を再確認・再提示を行います。

 

Ⅱ:(勝ち残りのための)競合店との差別化

  • カフェ事業部の紅茶は、紅茶輸入の専門企業の指導のもとに輸入しており、クオリティが極めて高い⇒品質による垂直的差別化を図る
  • 紅茶を提供するいずれの店舗も紅茶と相性の良いフードメニューを揃える⇒多様性による水平的差別化を図る

 

Ⅲ:企業の成長戦略

「戦略的経営の父」アンゾフの成長マトリクスによれば、企業の成長には次の4つの戦略があるとされている。

  • (第1象限)市場浸透:既存の市場×既存の製品
  • (第2象限)市場開拓:新規の市場×既存の製品
  • (第3象限)製品開発:既存の市場×新規の製品
  • (第4象限)多角化:新規の市場×新規の製品

これを同外食産業に当てはめ、

  • 第1象限:既存外食事業の一層の多店舗展開、付加価値向上によるリピーター集客
  • 第2象限:紅茶カフェの展開⇒「お客さまのライフスタイルに合った価値を創造」
  • 第3象限:既存外食事業の海外の展開⇒新たな顧客を開拓

としました。

そして最終象限の多角化をもってカフェ事業部の戦略とするという以下の提案を行いました。

 

  • 第4象限:カフェ事業では、ファッショナブルで本格派のカフェを求める新たな顧客層に、新たな価値をもった商品(紅茶や相性の良い料理)を売る。

この成長戦略は次の手順を踏んで策定したものです。

 

フェーズ1:企画・概念

  • 新事業コンセプトの策定(戦略顧客の設定と訴求価値の具現化)

どのような属性の消費者をメインの顧客(=戦略顧客)にするのか、どのようなサービス・品質・特徴(=訴求価値)で勝負していくのかを明確に(具現化)することを考えます。

 

フェーズ2:基本設計

  • ビジネスモデル・ビジネススキーム策定

新事業の根本的な仕組みと、販促施策を含め、どのような仕組みで事業計画を回していくかを考えます。

 

フェーズ3:プロモーション

  • プロモーション施策の策定

事業計画を実現させるために、どのようなプロモーション施策を打つべきであるか、具体的な例を考えました。

これをお読みいただければ、思い込みや思いつきに基づく提案ではなく、理論的な流れに基づいたものであることがおわかりいただけると思います。

 

ところが、多くの企業や経営者は、そこに製品・サービスがあるからということだけで、いきなり「運用・導入」フェーズ、すなわち「何が何でも売る」という段階に飛びつく場合が多いといえます。

当然市場リサーチも、3P4C(Company、Customer、Competitor/Product、Price、Place、Promotion)の策定も行っていないわけですから目標数値だけが先行して売上の上がらない経営計画が出来上がってしまいます。

 

このような経営計画づくりにに陥らないためには、一にも二にもこれから取り扱おうとする商品・サービスが、自身の経営哲学や経営理念に合致したものなのかを見極めることから始めるべきでしょう。

 

まとめ

モノのない時代に有効であったプロダクトアウト経営は過去のものになり、20世紀の終わり頃にクローズアップされたマーケットイン経営も、今日マーケティング4.0の考え方に移行しています。

これからの時代、経営計画・戦略を立てるなら、古典的なマーケティング理論を踏まえた上で、常に新しい理論に基づいて考えていくことをおすすめします。

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