コロナ禍をきっかけにテレワークを導入する企業が急増しています。経営者の方の中には、自分の会社でもテレワークを導入しようか検討しておられる方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回の記事では、テレワークのメリットとデメリットについてご紹介していきたいと思います。また実際にテレワークで在宅勤務が増えている今、実際に現場でどんな変化が起きているのか、ということについても考察していきたいと思います。
そもそも、テレワークっていったい何?
コロナ禍で急速にテレワークの需要が高まるなか、テレワークという言葉を耳にする機会が大幅に増えました。ただ、意外と“テレワーク”という言葉について理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。
そこで、今さら聞けない“テレワーク”という言葉について、まずはおさらいしていきましょう。
テレワークの分類
テレワークとは、「情報通信技術を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」と定義されています。
そして、テレワークは大きく分けて3つに分類することができます。
①モバイルワーク
→顧客先や移動中に、携帯電話やパソコンを使う働き方。
②サテライトオフィス勤務
→勤務先以外のオフィススペースでパソコンなどを利用した働き方。
③在宅勤務
→自宅にいて、パソコンなどを用いて会社と連絡を取りながらする働き方
今回、この記事では③の在宅勤務という意味におけるテレワークについて主にご紹介していこうと思います。
テレワークの普及率
ニュースはもちろん、周りの友人からもテレワークを導入したという話をよく耳にするようになりましたが、具体的にはどのくらい普及しているのでしょうか。
テレワークの普及に関しては、じつは以前より政府主導で推進されていましたが、思うようには進んでいない状態でした。
総務省発表のデータによると、2017年までは普及率が10~15%の間を推移しており、伸び悩むテレワークの普及に政府関係者も頭を悩ませていたようです。
しかし、今回の新型コロナウィルスの影響で状況が一変し、急速にテレワーク導入が進んでいきました。
内閣府が実施した調査結果によると、テレワーク普及率は34.6%、東京23区内に限定すると55.5%という結果が出ました。
2017年に比べると約3倍もの企業がテレワークを導入し始めたのです。
34.6%と聞くともしかしたら思ったよりも普及が進んでいないイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、飲食店など、テレワークを導入することが難しいサービス業なども含まれていることを考えると、いわゆるデスクワークと呼ばれるような業態でのテレワーク普及率は数字以上に大きいのではないでしょうか。
遅々として進まなかったテレワークの普及が、コロナ禍によって半ば強制的に進められた結果となりました。
このようなデータからもテレワーク導入が急速に進んだということが言えるでしょう。
テレワークにおけるメリット&デメリット
コロナ禍で、急速にテレワークの需要が高まり、テレワークを導入する企業が急増したことはわかっていただけたと思います。
ここで、テレワークのメリットとデメリットを一緒に考えていきたいと思います。
テレワークのメリット
テレワークにおけるメリットを考えるにあたって、わかりやすくするために企業側と従業員側に分けて考えていきます。
企業のメリット
- 事業継続性:災害時にもストップすることなく事業を継続できる。
- 離職率の低下:出産や結婚などのライフスタイルの変化によって離職する人が少なくなる。
- オフィス運用コストの削減:家賃や電気代などの費用を削減できる。
従業員のメリット
- ストレスの軽減:通勤や対人関係などの面で精神的な負担が少ない。
- ワークライフバランスの充実:家庭と仕事の両立がしやすい環境をつくることができる。
- 働く場所が自由に決められる:様々な状況下においてフリーアドレスで自由に仕事が可能。
そのほかにも、社会全体で考えると地方の雇用創出が進むこと、環境へのダメージが削減できることなどが挙げられます。
テレワークのデメリット
テレワークの良い部分について理解していただけたでしょうか。
では反対に、テレワークにおけるデメリットについて考えていきます。
企業のデメリット
- 労働時間の管理が難しい:直接目が届かないので、マネジメントが難しい。
- 人材の育成が進めにくい:新入社員の研修など、対面で行う方がスムーズな面がある。
- 情報漏洩のリスクが高まること:セキュリティを強化できる部分が限定的になってしまう。
従業員のデメリット
- コミュニケーション不足:オフィスでの雑談などをする環境がなく、孤立しがち。
- プライベートと仕事の線引きが難しい:スイッチの切替えがうまくできないひとが多い。
- スピード感のある調整ができない:直接やり取りができないことの弊害がうまれる。
このようにテレワークの導入にはメリットもあればデメリットもあります。テレワークを導入すべきかどうかは、それぞれの企業の運営状況によって変わってくるのではないでしょうか。
オフィス運用コストが高く、テレワークであってもマネジメントができるような業態であればテレワークを積極的に取り入れるのも一つの手ですし、対面でなければ余計にコストがかかるような業態であれば、無理に取り入れる必要はないかもしれません。
テレワークにおける会議の実態
ここまで、テレワーク全体に関することについてご紹介させていただきました。ただ、実際にテレワークを導入している企業のなかで一体どのような変化があるのでしょうか。
具体的にイメージしていただくために、今回はテレワークにおける『会議』をピックアップして、そのメリットとデメリットを考えていきたいと思います。
オフィスの会議室で行われる通常の会議とは似ても似つかないテレワークにおける会議ですが、画面越しでの会議は初めての経験だという方も多かったのではないでしょうか。
筆者自身もテレワークでの会議は初めての経験で、最初は戸惑いもありました。実は外からはわかりづらい微妙な違いが存在し、その部分の差が大きな変化を生んでいます。
実際に体験したからこそ感じたテレワーク会議の実態に迫りたいと思います。
テレワークでの会議におけるメリット
テレワークでの会議におけるメリットを大きく2つ分けてご紹介していきます。
公平性が担保される
テレワークでの会議の場合、パソコン画面には会議参加者の顔がランダムに同サイズで並んでいます。
上司や部下といったことは一切関係なく、公平な画面構成が作られます。
一方で、通常のオフィスで行われる会議はある程度、席が決まっていることが多いです。普段はなかなか意識しないことかもしれませんが、一般的には上司が中央に座り、それを囲むように社員が着席します。
この座席が、実は会議の公平性を妨げているというケースがあります。新人や役職のついていない社員は物理的に会議の中心から遠ざかっています。
その物理的な距離が心理的にも作用し、積極的に会議に参加するという意識を削り、発言を躊躇してしまうというケースが多いのです。
しかし、テレワークでの会議であればそのようなことはなく、全員に対して平等に発言機会が与えられているような印象があり、より積極的に会議に参加し、自分の考えも伝えやすいと感じる人も多いようです。
効率が上がる
「うちの会社は無駄な会議が多すぎる」という悩みを持つ社員は多く存在します。実際に筆者もそう感じることがとても多かったです。
通常の会議では、会議の論旨からは脱線し思うように会議が進められないことも多くあります。その一方で、テレワークにおける会議では、文面などでの共有も増え、必要なことだけを議論することが多くなりました。そのため、会議時間も短縮され効率的に会議を進めることができます。
テレワークでの会議におけるデメリット
テレワーク会議におけるデメリットを大きく2つ分けてご紹介していきます。
創造性が下がってしまう
たしかに、テレワークでの会議は対面の会議より効率的に進めることができますが、その一方でお互いの意見をぶつけ合うこと生まれるクリエイティブなアイデアが出にくいという欠点があります。
無駄な会話が減るということはメリットでもありますが、無駄から新しいアイディアが生み出されるというケースも少なからず存在していたことに気づかされた方も少なくないのではないでしょうか。
なかなか営業成績が上がらずに行き詰まってしまっているときに、色々な意見を募集しながらアイデアを練るというような場面などにも不向きであると言えます。
多様性がなくなる
テレワークでの会議では、淡々と議題が消化されていき、やりとりが機械的に進んでしまうケースも多いです。
そのため、“つまらない会議”になってしまうリスクがあります。先ほどの話と被る部分もありますが、話が脱線したり、ぶつかり合ったりすることで生まれる会議の多様性が失われてしまうという欠点が考えられます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は一般的なテレワークのメリットデメリットだけでなく、実際に会社内でどのような変化があるのかについて、テレワークにおける『会議』に焦点を当てて詳しく見ていきました。
オフィスでの業務、テレワークでの業務それぞれに良いところと悪いところが存在します。今後も新型コロナウィルスの影響が続き、まだまだテレワークの推進が進んでいくと考えられます。
テレワークの良い部分を生かしていくことで、企業と従業員がそれぞれWIN-WINな関係を築いていけることを願っています。