2019年厚生労働省によって発表された働き方改革によって、多くの人や会社がこれからのワークスタイルを見直しています。
さらに追い打ちをかけるように2020年に入り新型コロナウイルスが蔓延。今まさに急激な働き方の意識改革を強いられているのです。
そこで参考にしたいのが、私生活にも重きを置いている海外の働き方。今回は、日本の企業も参考にしたい海外の働き方やライフバランスをご紹介します。
日本における労働環境は世界水準で下位
まずは今の日本の働き方が世界水準で見たとき、どのようになっているのかをご紹介します。
日本の労働環境は最悪?休みや勤務時間の現状
労働政策研究の調べによると、2018年の日本の平均労働時間(年間)は、1,680時間となっています。1985年には2,100時間ほどあった労働時間が、現在は大幅にカットされているのがわかるでしょう。しかしドイツの1,363時間、スウェーデンの1,474時間と比べたらまだまだ多いのが現状です。
一方、日本の祝日は世界で最も多く、年間17日あります。アメリカの10日、フランスの9日と比べても圧倒的に日本の方が多いのです。さらに海外は祝日と休日がかぶった場合振り替えないのに対し、日本は振替休日もあります。その点を考慮すると、実際はもう少し海外との差があるでしょう。
参照:https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/databook/2019/06/d2019_G6-1.pdf
日本や有給休暇取得率が世界と比べても低い
これだけ多くの祝日がありながら、日本の休暇数は低い水準にあります。これは、海外は有給休暇を積極的に取得しているのに対し、日本は消化することなく過ごしてしまうからでしょう。
世界28カ国を対象とした有給休暇取得調査では、ブラジルやフランス、スペインなどは有給休暇取得100%という徹底ぶり。それに対し日本は50%という低水準が目立ち、2016年には最下位になっています。
今後は有給休暇取得の状況が働き方改革の要となってくる可能性もあり、法改正の話題も出ています。
有給休暇問題は、企業も個人も真剣に向き合っていく必要がありそうです。
ドイツに学ぶ働きやすい会社に変わっていくためのステップ
先進国の中でも労働時間が短いことで知られているドイツ。働き方や日本が見習う点はどこにあるのでしょうか?
ドイツは仕事のオンオフがはっきりしている
ドイツは、先進国の中で一番労働時間が短いと言われています。ドイツでは一日に10時間を超える労働を禁止する法律もあり、長時間労働や週末労働を強いると罰金が科せられてしまうのです。
年間1,363時間の労働時間から計算すると、一日の労働時間はおよそ6.11時間です。それなのに一人当たりGDP(国内総生産)においては、ドイツ41,902ドル、日本38,917ドルと、日本よりはるかに上回る結果になっています。
また有給休暇取得のほかに病気休暇という制度も存在。体調が悪いときは無理をせず休養することが認められているのです。
日本の企業が今から採用したいドイツ式働き方
日本の企業には、まだ「長時間働くのがえらい」という風潮が残っていることが多いでしょう。さらに遅刻には厳しいのに残業には甘いといった、時間に対する認識の仕方は海外と比べると異様です。
一方でドイツをみると、労働時間は短くても成果を出すことは可能です。むしろ短時間で作業を行う方が効率が良く集中することができる場合もあります。
日本では残業するのが当たり前、定時帰社はしにくい雰囲気がありますが、この辺りの意識改革は必要でしょう。
- 上司が積極的に定時で帰る
- 有給休暇を取得しやすい雰囲気
- 短時間で効率良く作業するためのタスク管理
などは、すぐに実践できる項目でしょう。
企業の大々的なルールが変わらなくとも、身近な意識から長時間労働に対する働き方は変えていくことができます。
オランダに学ぶ働きやすい会社に変わっていくためのステップ
子どもが世界一幸せな国と称されているオランダは、法によって労働スタイルが日本とは大きく異なります。日本もマネしたいオランダのワークスタイルとは、一体どのようなものでしょうか?
オランダが実践している働き方改革は家族がベース
平日の午後、公園には子どもと遊ぶパパの姿が多く見られるオランダ。仕事よりも家庭を重視する声も多く、今では週3、週4の勤務形態が当たり前になっています。この背景には、オランダでは共働き家庭が多く、週末だけでなく平日も子どもとしっかり向き合えるためだそう。
週3勤務だとパートタイムとして働くことになりますが、驚くことにパートタイムと正社員との待遇の差がないのです。勤務時間が短い分給与は少なくなりますが、福利厚生などの待遇は、フルタイムのときと変わりません。
そのため、パートタイム勤務の雇用が半数以上を占めるとのデータも存在。子育て中世代にはこの上ない待遇といえるでしょう。出産や結婚を機に優秀な人材が離職するのを防ぐこともできます。
日本が採用したいオランダ式働き方
パート雇用が広く周知しているオランダでは、正社員にこだわる人が少ないのが印象的です。一方日本では、いまだに正社員雇用にこだわる傾向があります。それは、正社員の方が世間体も良く福利厚生も手厚いことが原因のひとつです。
日本では、
- 雇用形態の多様化を認める
- 正社員以外のパートタイムへの福利厚生など待遇を見直す
- ワークシェアリングをして雇用を広げる
など取り組む必要があるでしょう。
パートタイムの雇用が普及すれば、出産や育児をきっかけに職を離れていた人を雇用しやすくなり、人手不足の解消にも期待できます。働き手として自分のライフスタイルの変化に合わせて働けることは、大きなメリットです。
また、短時間勤務の雇用を増やしワークシェアリングをすることで、働き手は副業に取り組むこともできます。
近年日本でも政府が副業を推奨していることから、ダブルワーカーも増加傾向に。といえども、まだまだ少ないのが現状です。会社にとしても、良い人材なら短時間でも欲しいと思えるでしょう。
まとめ:海外の働き方を参考に日本の良さを活かしたワークスタイルを
海外の働き方は、プライベートも充実させるバランス型の傾向が多く見られます。仕事中心の生活ではなく、生活の一部に仕事が組み込まれているような仕組みは、生きていく上で居心地が良いでしょう。
働きすぎな日本人と言われているように、今の日本に求められているのは、海外のような生活に溶け込むワークスタイルなのかもしれません。しかし、日本の勤勉な働き方は海外からも評価されています。真面目に働きながらも自分のプライベート時間を見直すことが、これからの日本には必要なのかもしれませんね。