今年に入ってから誰もが予想しなかった新型コロナウイルス感染症の発生・まん延により、人々の生活様式ががらりと変わりました。
テレワークやソーシャルディスタンスなど、新しい価値観が浸透しつつあります。そうした中、インサイドセールスという新しい営業スタイルを耳にすることが多くなりました。今回、企業側にも働き手側にもメリット満載のインサイドセールスについて、基礎から導入方法まで解説します。
インサイドセールスとは?
インサイドセールスは、足を使ってクライアントや潜在顧客を直接訪問する「外勤型営業」とは対照的に、クライアントや潜在顧客を訪問せず、電話やビデオ会話、メールなどを使って顧客に接する「内勤型営業」のことです。
アメリカで生まれ、テレフォンアポイントの営業スタイルが波及したことで広がったと言われています。
なぜ今、インサイドセールスなのか?
内勤型営業であるインサイドセールスが、なぜ今注目されているのでしょうか?2つの理由があります。
注目される理由1:通信環境の発達
1つは、インターネット環境が整備されてきたからです。
ひと昔前は、メール1通を送るのに何分も待たなければならない時期もありました。ところが、今ではメール送受信はおろか、動画もサクサク閲覧できるくらいに通信環境が整いました。
今後5Gに移行すると、ますますオンラインでのビジネスが加速するでしょう。
注目される理由2:パンデミックによるニューノーマルへのシフト
もう1つの理由は、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが世界的に広がり、今までの働き方や生活の仕方が通用しなくなってしまったからです。以前は、顧客先を訪問し、顔と顔を合わせて直接話し合うのが当たり前でした。
むしろ、直接会って話をすることが礼儀であると捉えられていました。
しかし、コロナ後の世界はどうでしょうか?人と話すときは一定の距離を保ち、極力話をしないことがマナーとされるようになりました。
直接会わずに顧客にアプローチできるインサイドセールスは、新しい働き方の代表の1つです。
インサイドセールスのメリットとは?
では、インサイドセールスのメリットは、何があるのでしょうか?3つのメリットを説明します。
営業コストを抑えられる
顧客先を直接訪問する外勤型営業では、「移動費コスト」と「時間的コスト」が発生します。クライアントを訪問する際、電車や車での移動になることが大半ですが、移動するだけで、コストが発生します。たとえば、都内から大阪に移動するとなると、新幹線の交通費に加え、片道約2時間半の移動時間を費やします。
ところが、インサイドセールスでは、移動費と移動時間に関するコストは発生しません。人件費や交通費として、企業の営業経費は削減できます。
多くの顧客に営業できる
インサイドセールスでは、顧客を直接訪問しません。従来の外勤型営業は、顧客を直接訪問するために移動時間がかかるので、どんなに優秀な社員でも1日10件未満のアプローチだったことでしょう。
しかし、インサイドセールスは、社内や自宅からメールや電話を用いてクライアントへ接触します。そのため、1日に接触できる顧客数は圧倒的に多くなります。電話でのアプローチでは、1時間あたり平均15〜20件かけられます。移動時間を顧客への接触時間に充てられるため、より多くの顧客に営業できるのです。
営業効率が高い
インサイドセールスでは、営業をかける顧客リストを徹底的に細分化します。のちほど「インサイドセールスの実際」で後述しますが、営業リストを細分化して階層化するので、どの顧客は確度が高く、どの顧客は契約確率が低いのかが明確になります。
そのため、確度の低い顧客に対して多くの時間を費やすことがなく、営業成績を高められます。
インサイドセールスの手順とは
ここまでインサイドセールスのメリットをお伝えしましたが、では実際にどのようにインサイドセールスを行うのでしょうか?
営業リストへ架電 ▶ メルマガ送付・オンライン訪問 ▶ 契約
インサイドセールスでは、顧客先を訪問する代わりに、電話にて現状のヒアリングからスタートします。プッシュ型の営業をするのではなく、顧客に接する機会を電話やメールなどで多様化し、徐々に商品購入へとつなげます。
したがって、結果を焦らずメルマガの送付などで商品やサービスの理解を深めてもらうことが大切です。
さらに顧客リストを常に最新の状態にアップデートしておくことも求められます。
1. 営業リストの作成
インサイドセールスでは電話やメールを用いるため、アプローチする営業リストが必須です。そのため、まずは営業リストの作成からスタートします。
一般的に、自社が属する業界の展示会に出展した際、集まった名刺をリスト化します。または、潜在顧客向けに自社商品やサービスの説明セミナーを行うのもいいでしょう。そこで集まった情報を、営業リストとして作成します。
2. 架電スクリプトの作成〜架電
インサイドセールスでは、セミナー開催や展示会出展、あるいは自社ホームページからの資料請求など、基本的にはすでに接触があった顧客へアプローチします。そのため、「はじめまして」の会話で怪しまれることなくファーストコンタクトを取れるのですが、営業リストを作ってからのファーストコンタクトは、やはり重要です。
電話でコンタクトを取る際、スムーズに会話が進むよう、想定される顧客からの質問などをあらかじめ用意しトークスクリプトを作成します。そのトークスクリプトに沿って、実際に架電スタートです。
3. メルマガ送付・オンライン営業
架電リストに沿って顧客と話ができたら、顧客の会話温度によってメルマガ送付の確約かオンライン営業の日程をとりつけます。メルマガを送付することで、顧客が自社商品やサービスに興味を持ってくれる機会を待ちます。商品についての興味や関心が高い顧客は、ビデオ商談の機会を設け、具体的な話を進めます。
インサイドセールスを成功させる秘訣
インサイドセールスは、営業リストが要であると言いましたが、架電やメルマガを送付したり顧客と接したりする段階で、顧客の契約確度を随時更新しましょう。
顧客の興味や関心度合いを細分化し、顧客をランク化します。なぜなら、商談確度が高い顧客により多くの接触機会を作るほうが、営業効率がいいからです。
まとめ
インサイドセールスの概念からメリット、さらには実際の方法まで解説しました。コロナ時代の新しい働き方としてこれからさらに定着していくでしょう。
場所を選ばず顧客にアプローチできるインサイドセールスを活用して、ぜひより多くの顧客獲得を目指してください。